
世間の個人は、無料〜数千円の生成AIで「記事・デザイン・動画・翻訳・軽い開発」を一人で回し、週末に小さなビジネスを成立させています。副業人材マッチングの調査でも、副業で生成AIを使ったことがある人は75%。これは“物好きの遊び”ではなく、仕事の作り方そのものが変わり始めたサインです。
一方で、御社はどうですか。似たレベルの作業に、何十万円の外注費と、長い納期と、修正ラリーを支払い続けていないでしょうか。しかも社内に残るのは完成物だけ。勝ちパターン(型)も、再現手順も、担当者の判断基準も残らない。これでは、外注費が“固定費”のように膨らむのは当然です。
さらに厄介なのは、現場が止まっていないことです。生成AIの利用実態調査では、生成AIの利用率が42.8%まで広がる一方、企業の公式導入率は28.4%にとどまっています。つまり「会社が遅い」ので、現場が勝手に進んでしまっている。経営が目を背けるほど、現場は“影で使う”方向に流れます。
【コンサルタントの眼】
「AIが怖い」のではなく、「AIを知らないまま外注に逃げ続ける」方が怖い。
無知のツケは、毎月“請求書”として届きます。しかも、会社の学習速度を殺しながら。
経営者の怠慢:「個人の生産性」が「組織」を凌駕する異常事態

生成AIは“気分が上がる新ツール”ではありません。業務時間を削る装置です。パーソル総合研究所の調査では、生成AIを活用しているタスクは、未利用時と比べて所要時間が平均16.7%削減されています。削減幅が大きいのは「企画・相談・思考整理」「文書・資料作成/編集」「データ分析/レポーティング」。つまり、経営者が毎週うんざりしている“頭脳労働の雑務”に直撃しています。
ただし、ここで多くの会社が誤解します。業務時間が実際に減った人は利用者の約4人に1人(25.4%)にとどまる。要するに、ツールを配っただけでは減りません。減る会社は、使い方を「仕組み」にしている。逆に言えば、仕組みに落ちていない会社は、AIを入れても「便利そうだね」で終わります。
さらに同調査では、生成AIの成熟度が高い群は、低い群より削減時間が約2.3倍。差がつくのは「モデルの性能」より、運用設計です。ここまで揃って、結論は明快です。
- 個人が速いのは、決裁が要らないから:思いついたら即試し、外れたら即捨てる。
- 組織が遅いのは、型がないから:毎回ゼロから会議して、毎回外注して、毎回学ばない。
- 結果、個人の生産性が組織を超える:これは技術格差ではなく、経営設計の敗北です。
「個人の副業」=「法人の無駄な外注費」。今すぐ内製化すべき10の業務(比較表)
個人の「副業ジャンル10選」は、そのまま法人の「外注費の穴10個」です。論点は“できる/できない”ではありません。やらない理由が、もう存在しない。外注を全面否定する気はありませんが、少なくとも「学習まで外注」している状態は今日で終わらせるべきです。
| 個人の副業目線(やってること) | 法人の内製化目線(外注を辞める業務) | 外注で起きる典型的なムダ | 内製化の最短ゴール(仕組み) |
|---|---|---|---|
| Webライター | 採用広報・オウンド記事の内製化(構成→初稿→リライト) | 発注〜納期で旬が死ぬ/修正が感想戦になる | プロンプト+編集チェックリストで“当日初稿” |
| ブログ・アフィリエイト | SEO/FAQ/ナレッジの量産運用(継続改善) | 継続更新がコストで止まる | 月次のテーマ棚卸しSOPで“更新が止まらない” |
| 電子書籍 | ホワイトペーパー/営業資料の内製化 | 1本作って終わり/再利用できない | 再利用前提の章立てテンプレで資産化 |
| 翻訳 | 海外向けページ/提案書/マニュアルの下訳内製化 | 下訳から外注で遅い/手戻り多い | 下訳→人が用語統一のSOPで品質固定 |
| キャッチコピー | LP/求人/広告のコピー案量産(ABテスト) | 1案入魂で外す/改善が遅い | 10案→3案→1案の選抜プロセス固定 |
| 台本制作 | 採用・PRショートの台本量産 | 企画会議が長い/台本が属人化 | 30〜45秒の台本フォーマット固定 |
| イラスト・画像制作 | バナー/告知/採用クリエイティブの内製化 | 小修正で費用が膨らむ | レイアウト指示テンプレで“修正回数を殺す” |
| 動画制作・編集 | 採用・PR縦型ショートのインハウス量産 | 納期が遅い/修正ラリーで地獄 | 編集テンプレ+承認5分で週次運用 |
| AI×プログラミング | 小口開発・業務自動化(社内ツール) | “ちょい修正”に外注費/待ち時間 | 要件→試作→レビューの軽量SOP |
| SNS運用代行 | 投稿案・構成・運用スケジュールの内製化 | 毎月固定費化/投稿が会社の言葉にならない | 投稿の柱(4本)+週次運用SOP |
外注費の「止血」に直結する3大AI内製化領域

ここからは、経営の視点で“止血ポイント”だけを絞ります。全部やる必要はありません。血が出ているところから塞ぐ。それが合理的です。
1. コンテンツ制作(SEO/ブログ):外注ライターへの丸投げからの脱却
現場で一番多い誤解はこれです。「AIで記事を書いたら、文章が薄くなるんじゃないか?」——違います。内製化の狙いは“文章力”ではありません。意思決定の速度です。
業務で生成AIを継続利用している人は28.4%に拡大し、利用目的のトップは「文章作成・翻訳(59.7%)」という調査があります。つまり、現場はすでに“外注で買っている領域”にAIを当て始めています。経営がやるべきは、これを放置することではなく、会社の手順として正規化することです。
社内で押さえるべきは、派手なノウハウではありません。シンプルに、次の3点を“標準化”します。
- 当日中に叩き台を出す:企画が止まらない。会議が短くなる。
- レビューを「好み」から「事実確認」に寄せる:修正ラリーが激減する。
- 勝ちパターンをテンプレ化する:外注に再委託してもブレない。
外注をゼロにしろとは言いません。問題は、学習まで外注していることです。学習まで外注すると、永遠に「発注→待ち→修正→待ち」から抜けられません。会社のスピードは上がらず、外注費は下がらない。経営として最悪の組み合わせです。
2. デザイン・動画:採用・PRクリエイティブのインハウス量産
採用動画は、外注すると普通に桁が変わります。採用・リクルート動画の制作費用相場は30万〜300万円。縦型のショート動画でさえ、制作会社にまとめて依頼すると1本あたり約5〜10万円前後が目安、という情報もあります。ここで「本番を外注して当てにいく」判断は、投資効率が悪い。
経営者が持つべき判断軸は単純です。
- 高額な本番を最初から撮らない:当てにいく前に、当たる型を見つける。
- ショートは“量で質を見つけるゲーム”:外注は試行回数と相性が最悪。
- AIは編集スキルを民主化する:未経験の若手でも、テンプレで一定品質に持っていける。
そして、外注費を溶かす最大原因は技術ではありません。手戻り(修正ラリー)です。「なんか違う」を3回やった瞬間に、費用対効果は死にます。だから先にやるべきは、編集技術の教育ではなく、判断基準の固定(SOP)です。ここを固めるだけで、外注費の“膨張要因”が消えます。
3. 開発・データ処理:非エンジニアによる社内ツールの爆速構築
中小企業のボトルネックは、“重たい開発”より“軽い面倒”です。しかも、その軽い面倒は毎週発生し、静かに人件費を食い続けます。
- CSVの整形、請求データの集計、毎月のレポート作成
- FAQの更新、メール文面の定型化、社内申請の自動化
- LPの文言差し替え、フォーム項目の追加、簡単なスクリプト
これを全部、外注や情シス依存にすると、意思決定が遅れて機会損失になります。2026年の実務は、推論モデル(GPT-5.2クラス)と、レビュー前提の運用と、SOPで、非エンジニアでも“試作”までは到達できる時代です。経営が作るべきは「作らせないルール」ではなく、安全に試作させるレールです。試作が速い会社は、改善が速い。改善が速い会社は、売上と採用で勝ちます。
ツールを配るな、SOP(標準作業手順)を組め。AI内製化を失敗させない鉄則
AI内製化が失敗する会社は、だいたい同じ動きをします。「とりあえずアカウント配って、各自で使ってね」。その結果起きるのは、アウトプットのブレと、炎上寸前の事故と、上司の不信です。最後に残る言葉は決まっています。「やっぱりAIは使えない」。違います。使えないのはAIではなく、経営の設計です。
シャドーAIの調査では、会社が未導入でも個人で無料版を業務利用している人が14.4%、そしてルールがなく個人判断に任されている人が31.9%。つまり多くの職場が「使う/使わない」を放置しています。放置はリスクである一方、設計できれば“伸びしろ”でもあります。ここに手を入れられる会社だけが、外注費の止血に成功します。
SOPに入れるべきものは、難しくありません。むしろ“泥臭い”ほど効きます。
- 入力の型:会社情報・商品情報・禁止情報・前提条件を固定し、迷いと事故を減らす。
- 出力の型:見出し構造、尺、トーン、必須項目、禁止表現を定義し、品質を揃える。
- 品質基準:誤字・事実・数値根拠・言い回し・ブランドトーンをチェック項目に落とす。
- リスクのチェックリスト:著作権、個人情報、社外秘、誇大表現、比較表現を“出す前に”止める。
- 役割分担:制作=若手、レビュー=担当、承認=責任者(5分)までを手順化する。
成熟度が高いほど削減効果が伸びる、というデータの通りです。言い換えると、成熟度は“才能”ではなく、手順書と運用で作れます。経営がやるべき仕事は、まさにここです。
【コンサルタントの眼】
SOPは「資料作り」ではありません。
若手のセンスと上司の好みがぶつかって起きる“修正ラリー”を消し去り、外注費と時間を同時に止血するための、経営装置です。
【重要】法人が守るべきAIガバナンス(著作権・情報漏洩)
率直に言います。AIのガバナンスを放置している会社は、「早く事故りたい会社」です。ただし、怖がって止める必要はありません。必要なのは、現場を止めない実務的なルールです。守りが整うほど、攻めのスピードが上がります。
著作権:素材の出どころを残せない会社は、動画をやる資格がない
- 素材は「出どころ・利用条件」を台帳化:後から揉めたときに会社を守る。
- 商用利用の条件を統一:担当者の判断に任せない(属人化=事故)。
- BGM/効果音を最優先で固める:最も燃えやすい領域を先に塞ぐ。
情報漏洩:AIに“社外秘”を食わせる前提の会社は、すでに危ない
- 入力禁止ルールの明文化:顧客名、未公開数字、案件名、個人情報は入れない。
- 会社アカウントで統制:個人アカウント運用を放置しない。
- 承認フローを短く固定:止めるためではなく、速く安全に出すため。
現実として、会社が未導入でも個人で使ってしまう人は一定数います。ルールがない職場も多い。放置すれば、シャドーAIは増える一方です。だからこそ、禁止ではなく設計が必要です。
まとめ:無知への罰金(外注費)を止め、「AI内製化プロンプト集」をダウンロードせよ
個人はもう、AIで回しています。副業での生成AI利用は75%という調査もある。企業の現場でも利用は広がり、しかし公式導入は追いつかず、シャドーAIと無ルール運用が生まれている。ここで経営がやるべきことは、たった一つです。
- AIを“導入”するな。AIを“業務化”しろ。
(SOP、品質基準、権利・機密のルール、承認フローまで含めて設計する)
外注は悪ではありません。ただし、使い方を間違えると、外注は「学習停止装置」になります。まず内製で勝ち型を作り、外注は“増幅”に使う。これが健全です。逆に、勝ち型を作らず外注に丸投げすると、外注費は“止まらない罰金”になります。
【コンサルタントの眼】
外注費は「努力の代わり」ではなく「仕組みがない罰金」です。
罰金を払い続けるか、仕組みを作って利益に変えるか。経営の仕事は、その選択です。
AI内製化マニュアル・プロンプト集(無料配布)
外注費の止血に直結する 「AI内製化マニュアル+プロンプト集(10業務対応)+SOP雛形+チェックリスト」 をまとめて配布します。必要な方はフォームで 「プロンプト集希望」 とだけ書いて請求してください。止血が終わった会社から、採用も売上も前に進みます。





