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AI導入で「残業が増える」会社の共通点──高速でムダを作る“犬の道”脱却法

「AIを導入したのに、なぜか現場が忙しいまま…」
「ChatGPTのアカウントを配ったけど、使っているのは一部の若手だけ…」
そんなモヤモヤを抱える経営者・管理職の方は多いはずです。

従業員30〜300名規模の会社で、AI導入が「それっぽく進んでいるのに成果が出ない」ケース。
だいたい、同じ落とし穴にハマっています。

今日はその落とし穴を、社長・部長の意思決定に使える形で言語化します。

目次

AIは“魔法”じゃなく、増幅器

最初に結論からいきます。

AIはただの 作業を速くする道具
だからこそ、イシュー(解くべき問題)がズレる と、速くなるほどムダが増えます。

ここ、誤解されがちですが重要です。

  • 失敗の原因は「AIの性能不足」ではない
  • むしろ AIが優秀だから、間違いを 高速で増幅 する

そして「残業が増える会社」には、だいたいこの空気がセットで残っています。

  • 「AIを使ってる=先進的」
  • 「残業してる=頑張ってる」
  • 「とりあえず自動化しよう」

この3つが揃うと、AIは 成果を出す装置 ではなく、忙しさを増やす装置 になります。

「時短止まり」の会社で起きている“もったいない2連発”

先に“詰まりポイント”を2つ、はっきりさせます。

1) 「作った」ことが成果になっている

(=経営に何も効いていない)

現場で、こういう報告が増えます。

  • 「議事録をAIで作りました!」(→ その会議、そもそも必要?)
  • 「社内報をAIで書きました!」(→ 誰が読んで、何が変わった?)
  • 「文章を整えました!」(→ その文章、意思決定に影響する?)

この状態は、厳しく言うと “AIで丁寧にゴミを作っている” だけ。
経営が欲しいのは「作業が速い」ではなく、事業の変化です。

  • 意思決定が速くなる
  • 売上が増える/受注率が上がる
  • コストが下がる
  • クレームや事故が減る

AIで“成果”を出したいなら、アウトプット増産ではありません。
寄せるべきは、意思決定を変える 方向です。

2) 「残業=偉い」の評価軸が残っている

(=AIが嫌われる土壌)

AI時代に、残業が美徳のままだと組織はこう歪みます。

  • 速く終わらせた人が評価されない
  • 仕事を増やす人が評価される
  • 「改善」より「消化」が偉くなる

結果、社員は 効率化のための改善 をやらなくなります。
AIを入れても、結局こうなる。

“忙しいまま”が固定化する

AIの問題ではありません。
評価と文化の問題です。

AI時代に刺さるのは「イシュー思考」

──書籍『イシューからはじめよ』が急に現実的になる理由

AI活用の議論は、結局ここに戻ります。

  • Doing things right(正しくやる=効率)
  • Doing the right things(正しいことをやる=効果)

ドラッカーの趣旨で言えば、「やるべきでないこと」をいくら効率化してもムダはムダ
AIは主に 効率 を爆上げします。

だから、効果(狙うべき的)を外すと──

外れた方向に全力ダッシュします。

ビジネス現場での整理はこうです。

  • 効率(Efficiency):同じ成果を、より少ない時間・人・コストで出す(プロセス最適化)
  • 効果(Effectiveness):そもそも狙う成果が正しいか/価値があるか(戦略・優先順位)

「イシュー」とは、今ここで“白黒”つけるべき問い

『イシューからはじめよ』では、イシューを次のように定義しています。
「複数の立場の間で決着がついておらず、根っこに関わる/白黒がはっきりしていない問題」

刺さるのは、この指摘です。

世の中で“問題っぽく見えるもの”の多くは、実は今ケリをつけるべきイシューではない

AI導入で失敗する会社は、「それっぽい問題」を片っ端から片付けます。
その結果、重要な問いに到達しないまま終わる。

価値は「イシュー度 × 解の質」で決まる

ここが、AI導入の成否を分ける判断軸です。

  • イシュー度:今この局面で、その問いに答えを出す必要性の高さ
  • 解の質:その問いに対して、どれだけ明確に答えを出せているか

つまり、価値は “問いの質 × 答えの質”
「忙しい」「頑張った」「よくできた」では決まりません。

AI導入で「資料が増えた」「文章が整った」だけなら、多くの場合 解の質だけ を上げています。
一方、社長・部長が欲しいのは、イシュー度が高い問いに、解の質が高い答えが返ってくる状態です。

「犬の道」──AIでこれをやると、会社は“高速で疲弊”する

『イシューからはじめよ』で強く警鐘が鳴らされるのが 犬の道
イシューを見極めず、手当たり次第に作業を積み上げて「解の質」だけ上げようとすると、重要な問題に到達できず、意味も成果もない仕事になるとされます。

AIを入れて犬の道を走ると、こうなります。

  • 以前:ムダな資料づくりに 2日
  • 今:ムダな資料づくりに 20分

ムダが減ったわけじゃない。ムダの生産速度が上がっただけ。

だからAI導入で「残業が増える」会社が出ます。
速く作れるようになった分、会議が増え、資料が増え、確認が増え、差し戻しが増えるからです。

成果が出る会社は、AIを「2役」で使い分ける

AI活用がうまくいかない会社は、AIを1つの役で使いがちです。
成果が出る会社は、AIを 2役 に分けます。

  • 実行AI(書く・作る):文章作成/要約/たたき台/表づくりなど“作業”
  • 思考AI(考える):イシュー設定/問いの磨き込み/評価基準設計/プロンプト改善

この分業をやるだけで、成功率は一気に上がります。
理由はシンプル。

大量生成の力を、正しい方向に向けられるからです。

明日から回せる「思考AI → 実行AI → 思考AI」の型

流れは3ステップ。
ポイントは、最初と最後に 思考AI を置くことです。

ステップ0:社長・部長が決めるのは、ツールじゃなく 成果指標(KPI)

ここを現場に丸投げすると、ほぼ確実に迷子になります。

例(書き方も大事です。数字で切ります):

  • 見積作成リードタイム:48時間 → 6時間
  • 提案書の受注率:15% → 20%
  • 問い合わせ一次回答の即時率:30% → 80%
  • 月次レポート作成時間:8時間 → 2時間

KPIがないAI導入は、ほぼ確実に“遊び”になります。
現場は真面目なので、“遊び”を全力でやってしまうのが怖いところです。

ステップ1:まずAIに「イシューを1行にしろ」と命じる

最初に固定すべきは、作業ではありません。
固定すべきは “問い” です。

思考AI用プロンプト例(コピペ可)

あなたはマッキンゼー出身の戦略コンサルタントです。論理的かつ辛口に、以下の業務の「真のイシュー」を見極めてください。

次の業務について、

1. 本当に解くべきイシューを1行で定義し直してください(3案)。
2. そのイシューが高いか低いか、理由を添えて評価してください。
3. 成果指標(KPI)候補を3つ出してください。
4. 「犬の道」になりそうな作業(やっても価値が薄い)を指摘してください。

【業務】(ここに現場の説明を貼る)
【制約】人員、期限、顧客条件、法務・品質条件

これで「時短したい」「資料を作りたい」という作業要望が、
「何の意思決定を変えるのか?」 という経営言語に変換されます。

ステップ2:イシューが決まったら、実行AIに“たたき台”を作らせる

問いが定まってから、初めて生成です。
ここで遠慮はいりません。速さを使い切る。

実行AI用プロンプト例(提案書のたたき台)

以下の条件で、提案書の構成案と各スライドの要旨を作ってください。

- ターゲット:製造業の部長
- 相手の意思決定:導入検討の稟議を通す
- こちらの約束(価値):コスト削減と納期短縮
- 制約:A4換算で10枚以内
- 口調:簡潔、断定、数値重視

【材料】(商材説明、実績、事例、価格条件)

ステップ3:最後に思考AIに“ダメ出し”させる

AI活用で成果が出ない会社は、ここをやりません。
出る会社は、必ずレビューにAIを使います。

思考AI用プロンプト例(社長・部長目線のレビュー)

あなたはマッキンゼー出身の戦略コンサルタントです。論理的かつ辛口に、以下の提案書をCFO/営業部長の視点でレビューしてください。

1. 相手の意思決定に効く要素は何か
2. 根拠が弱い主張はどこか(数字・事例の不足)
3. 反論されるポイントと潰し方
4. 「イシュー度」が低い説明(削るべき)を指摘
5. 10点満点で評価し、改善版の指示(プロンプト)を作ってください

【本文】(実行AIのアウトプットを貼る)

ここで出てきた「改善版の指示」を、そのまま実行AIに投げ直します。
ポイントはこれです。

プロンプトすら自分で抱えない
──改善の仕事もAIにやらせる

「自動化する仕事が分からない」は正常。順序が逆なだけ

現場が迷うのは当然です。
多くの会社が“自動化”を、こう捉えてしまうから。

  • ×:AIで置き換える作業を探す
  • ○:KPIに直結するイシューから逆算し、作業を切り出す

自動化の候補は最後に決まります。先に決めるのはイシュー。

実務で安定する順番は、この3つです。

  1. 売上・粗利・解約・回収・クレーム・事故に関係する業務を選ぶ
  2. 「誰の意思決定が、何分早くなると、いくら得するか」を言語化する
  3. その意思決定に必要な情報整理・比較・文章化をAIにやらせる

こうするとAI活用が“遊び”になりません。
経営改善に直結します。

最後に:AI導入の成否は「ツール」ではなく、社長・部長の 問い で決まる

要点だけ、刺さる形でまとめます。

  • AIは 効率化のエンジン。でも「効果(正しい的)」がないと暴走する
  • 価値は イシュー度 × 解の質。解の質(文章の上手さ)だけ上げても意味がない
  • 犬の道をAIでやると、ムダを高速生産する
  • 打ち手はシンプル:AIを 思考役実行役 に分ける

今日の15分ワーク

  1. いま抱えている業務を1つ選ぶ(提案書、稟議、月次報告、採用、問い合わせ対応…)
  2. その業務の イシューを1行 で書く
  3. その1行を思考AIに貼って、こう聞く:
    「それ、本当に今解くべきイシュー? KPIは? 犬の道は?」

AI導入の成否は、ツールの性能では決まりません。
社長・部長が“何を解くか”を決められるかで決まります。

そして、会社に必要なのは残業ではない。
必要なのは、単位時間あたりの成果です。

今日の15分で、明日の会議と残業が変わります。
まずは「1行の問い」から始めましょう。

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