数十年前、誰もがお金のデジタル化や暗号化技術の存在に疑問を投げかけていた時代がありました。ビットコインという、まさにその技術が体現されたものが存在すると言われたら、笑うしかなかったでしょう。
しかし、その思想の生みの親であるサトシ・ナカモトのビジョンは現実となり、今やビットコインは世界経済の一部となっています。さて、このビットコインの勝利は確定したのでしょうか？
ゲンスラーとSEC
ゲリー・ゲンスラー、SEC（米国証券取引委員会）の現在のボスは、暗号資産の規制強化に焦点を当てています。彼の考える重要な質問は「暗号資産は証券なのか、商品なのか、またはその両方なのか？」ということです。この質問の答えが、業界の命運を左右することになるかもしれません。
時代遅れのルール
SECは現在、時代遅れのルールに基づいて暗号資産を規制しようとしています。そのルールとは、1946年のハウィーテストというものです。これは、かつて柑橘類を栽培する企業に関する最高裁判所の判決で用いられたルールで、今もなお暗号資産が証券かどうかを判断する基準となっています。
しかし、この定義に該当するかどうかを決めるのは裁判所であり、定義を変えられるのは議会だとセス・ハートリン（LedgerのGlobal Public Policy担当）は語っています。つまり、SECがどう考えていようとも、最終的に規制の形を決めるのは議会なのです。
ビットコインは例外？
議論が高まる中、ビットコインだけが例外扱いされていることが見えてきます。SECはビットコインをその分散型の性質により、商品として分類すると認めています。
ただし、ハートリンによれば、「SECのこの見解が正しいか間違っているかは関係ない。公の場でその見解を示すことで、ビットコインとその他の暗号資産との間に明確な差をつけようとしている」とのことです。
新規制とビットコイン
SECの暗号資産への取り締まりが強化される一方で、ビットコインの影響力は増しているようです。たとえば、ビットコインマキシマリストのマイケル・セイラーは、「ビットコインはすでにデジタル版のコモディティとして広く認識されており、業界全体がビットコインに特化することで合理化できる」と語っています。
しかし、現実はもっと複雑です。新たな法案が米議会で提案され、その中で暗号資産かどうかを判定する基準を分散化のレベルによって設けようという動きが出てきています。
もし、この法案が通過すれば、多くのトークンがCFTCの管轄下に置かれ、米暗号資産業界が待望の明確な規制を得ることになるでしょう。
まとめ
新しい規制が実現すれば、暗号資産の成長は次のフェーズに進むでしょう。そして、ビットコインだけでなく、その他の暗号資産も恩恵を受けることになるでしょう。規制の強化が暗号資産業界にとって障害になると考える人もいるかもしれませんが、それはある種の正常化であり、成熟した産業への一歩とも言えます。
ビットコインの運命は未だ不確定であり、それは暗号資産業界全体にも当てはまります。しかし、一つ確かなことは、私たちはこれらの新たな規制と業界の動向を見つめ、学び続けることで、新たな金融の時代を理解し、それに適応していくことが必要だということです。