デジタルアセットの世界は今、大きな変革の時代を迎えています。その変革の一端を担っているのが、ビットコインオーディナルズ（Bitcoin Ordinals）を通じた新規格「BRC-69」です。この記事では、ビットコインの革新的なトークン生成方法「オーディナルズ」について、そして新たに提案された「BRC-69」規格がどのようにそのエコシステムに影響を及ぼすのかを説明します。まだブロックチェーンやビットコインに詳しくない方も、この記事を読めばその核心をつかむことができるでしょう。
ビットコインオーディナルズとは？
オーディナルズは、ビットコインの最小単位である1サトシ（0.00000001BTC）に番号をつけ、そのサトシに任意のデータを紐づけるプロトコルです。これにより、ビットコインネットワーク上でトークンやNFT（非代替性トークン）を作成することが可能となりました。
新たな標準規格「BRC-69」の提案
しかし、「オーディナルズ」を利用したトークンの送金やミント（発行/鋳造）にはビットコインネットワークを使用するため、取引が増えるとネットワーク上の取引手数料が大きく上昇し、これが課題となっていました。その解決策として提案されたのが、新たなコレクション作成用の標準規格「BRC-69」です。
「BRC-69」は、オーディナルズを利用したNFTを、より低い手数料と小さいデータサイズでミントするための規格となります。これにより、開発者はリカーシブ（再帰的）なNFTをミントでき、その他の機能も実装可能となり、開発における柔軟性が大幅に向上します。
リカーシブなNFTとは？
リカーシブなNFTとは、そのNFTがデータを呼び出す性質を持つものを指します。これにより、大きなデータを複数のパッケージに分割して保存することが可能となり、実際に取引するサトシに保存されるデータを小さくできます。結果的に、取引コストが削減されるわけです。
さらに、「BRC-69」の導入により、「プレリベール」という、事前にNFTの詳細を確認できなくする機能や、イーサリアム上で既に使用されているその他の機能が、「オーディナルズ」NFTにも実装可能となります。
「BRC-69」規格のメリット
Github上で公開されている説明によれば、「BRC-69」規格を採用することで、ブロックスペースの90%以上の最適化を達成し、全てのオンチェーンリソースを保持することが可能となります。
また、「BRC-69」規格の適用は、次の4つのステップによって行われます。「形質の画像をオンチェーンに書き込む」、「コレクションのデプロイ用JSONの記述」、「コレクションのコンパイラ用JavaScriptを登録する」、「ミント操作を行う」です。
既存のNFTとの結びつき
ビットコインNFTは、その誕生以来大きな注目を集めています。例えば、イーサリアム上の人気NFTコレクション「Miladys（ミレディズ）」が新たなトークン規格「BRC-721E」を採用したビットコインNFT「Bitcoin Miladys（ビットコインミレディズ）」がリリースされたことは、その一例と言えるでしょう。
「BRC-721E」は、イーサリアム上のNFTを焼却（バーン）し、その情報をビットコインネットワーク上の「satoshi」に付与することで、ビットコインネットワーク上のNFTとして扱えるようにする「Ordinals Bridge（オーディナルズブリッジ）」を実現します。
ただし、このブリッジを利用すると、イーサリアム上で保有していたNFTが焼却されるため、一度ビットコインネットワークに移行したNFTを元のイーサリアムに戻すことはできません。したがって、「Ordinals Bridge」の利用には、十分な注意が必要です。
まとめ
ビットコインオーディナルズの革新的なトークン生成方法「オーディナルズ」と新たな規格「BRC-69」は、ブロックチェーン技術の持つ可能性を更に広げます。これにより、開発者たちは、より少ないコストで高機能なNFTを生み出すことが可能となります。
この進化は、デジタルアセットの世界だけでなく、私たちの生活全般にも影響を及ぼす可能性があります。NFTやブロックチェーンが、これからどのような形で我々の日常生活や社会全体を変えていくのか、その一端を垣間見ることができるでしょう。
これからも、「オーディナルズ」や「BRC-69」などの新たな規格やテクノロジーの進化を注視し、その影響や可能性について、わかりやすく解説してまいります。